野球観戦が大好きだ。球場には時折足を運ぶが、試合そのものより食事や雰囲気を楽しむことが多い。家でじっくり観戦するほうが、わかりやすく心地よいと感じていた。
だが、先日の試合は特別だった。いつもとは明らかに違った。その理由は、メガネを持参したことだ。
普段、メガネは運転時にのみ使用する。日常生活ではほぼ必要なく、着ける習慣がないため車に置きっぱなしだ。外出時、メガネを持っていく発想はまず浮かばない。メガネをかけると遠くが鮮明に見えるのは知っているが、普段使わない者にとって、特別な予定があっても持参する意識はほぼない。
今回は、ふと思い立ち、メガネをポケットに入れた。すると、球場が一変した。外野席からの観戦だったが、ピッチャーの動き、バッターのスイング、すべてがはっきりと見えた。試合に深く集中でき、現地観戦がこんなにも楽しいものかと驚いた。これまでにないほど試合に引き込まれ、興奮が心に残った。
裸眼でも日常生活には支障がない程度。だが、メガネをかけると世界が驚くほど鮮やかに変わる。
それはわかっている。なのに、意識しない限り、メガネを持っていくことは、つい忘れてしまうのだった。