古代ローマでは、洗濯に人間や動物の尿が使用されていました。現代の感覚では信じられないかもしれませんが、これは当時としては理にかなった方法でした。
尿に含まれるアンモニアが、天然の界面活性剤として機能します。界面活性剤は、水と油を混ざりやすくする性質を持ち、汚れを落とすのに役立ちます。ローマ人は、このアンモニアの洗浄効果に着目し、特に羊毛などの汚れを落とすために尿を活用していました。
洗濯の手順としては、まず尿を溜めて発酵させ、アンモニアの濃度を高めます。次に、洗濯物を尿に浸し、足で踏みつけるなどして汚れを落としました。その後、水で洗い流し、天日で乾燥させます。
当時の尿は貴重な資源であり、公衆トイレや壺などから回収されました。中には、尿を集めて販売する専門の業者も存在しました。皇帝ウェスパシアヌスは、尿の徴税を始めたことでも知られています。「金は臭わない(Pecunia non olet)」という言葉は、彼が尿税を非難された際に発した言葉として有名です。
現代の洗剤のように香りはありませんでしたが、古代ローマ人にとって、尿は生活に欠かせない洗濯用品だったのです。
▶︎いつもありがとう!
▶︎ SNS