米西戦争では、戦死者よりも缶詰に当たって食中毒で死ぬ米兵の方が多かった
**米西戦争における食中毒の悲劇**
1898年の米西戦争は、アメリカが世界的な強国へと躍進するきっかけとなった戦いですが、その裏には悲惨な事実が隠されています。なんと、戦闘で命を落とした兵士よりも、粗悪な缶詰による食中毒で亡くなった兵士の方が多かったのです。
当時のアメリカ陸軍は、兵士の食料として大量の缶詰を調達しました。しかし、その品質管理は杜撰そのものでした。劣悪な環境で製造された缶詰は、しばしば腐敗や細菌汚染を引き起こしていました。特に問題となったのは、「牛肉抽出物」という缶詰で、これは「腐った牛肉」や「embalmed beef(防腐処理された牛肉)」と揶揄されるほど酷いものでした。
高温多湿なキューバやフィリピンといった戦地では、缶詰の腐敗はさらに加速しました。食中毒を引き起こした兵士たちは、発熱、嘔吐、下痢に苦しみ、中には命を落とす者もいました。その数は、戦闘による死者数よりも遥かに多かったと言われています。
この事態を受け、アメリカ国内では食品の安全性に対する国民の関心が高まりました。後に「純粋食品薬品法」が制定されるなど、食品衛生に関する法整備が進むきっかけになったとも言えます。米西戦争は、アメリカの食の安全保障における大きな転換点となったのです。
▶︎いつもありがとう!
▶︎ SNS