moonは当初ますむらひろしのアタゴオルをゲーム化しようとして作られた
**背景と文脈:**
1990年代初頭、ゲーム業界はRPG全盛期でした。しかし、多くのRPGは戦闘やレベル上げに重点を置き、ストーリーやキャラクターの描写は二の次になる傾向がありました。そんな中、ラブデリックという開発会社が、既存のRPGのアンチテーゼとなるような作品を企画しました。
**トリビアの詳細:**
ラブデリックの代表である西健一氏は、当初、ますむらひろしの漫画『アタゴオル物語』をゲーム化することを考えていました。『アタゴオル物語』は、猫のヒデヨシが暮らす不思議な世界「アタゴオル」を舞台にした、ほのぼのとしたファンタジー作品です。
西氏は、『アタゴオル物語』の持つ独特の世界観やキャラクター、そして何よりも「優しい物語」というテーマに強く惹かれました。しかし、当時の技術やゲームデザインの制約から、『アタゴオル物語』の世界観を完全に再現することは難しいと判断しました。
そこで、西氏は『アタゴオル物語』の持つ「優しさ」や「癒し」といったテーマを継承しつつ、全く新しいオリジナルゲームを制作することにしました。それが、1997年にPlayStationで発売された『moon』です。
『moon』は、勇者によって破壊された世界を舞台に、勇者の後始末をするという斬新なコンセプトで、RPGの常識を覆しました。戦闘やレベル上げといった要素はなく、人々との交流や世界の探索を通じて、愛の意味を問いかける内容となっています。
つまり、『moon』は『アタゴオル物語』のゲーム化という企画が頓挫した結果生まれた、いわば「アタゴオルの魂を受け継いだ」作品と言えるでしょう。
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