「ドカベン」は、水島新司氏による野球漫画として広く知られていますが、連載開始当初は設定が大きく異なっていました。
1972年に週刊少年チャンピオンで連載が始まった当初、主人公の山田太郎は、体格の良い柔道少年でした。物語は、彼が所属する明訓高校柔道部を中心に展開し、柔道の試合や練習風景が描かれていました。
初期の「ドカベン」は、水島氏がそれまで得意としていた柔道漫画の要素を強く残しており、熱血スポ根ものとしての側面を持っていました。しかし、読者からの反応や編集部の意向などから、徐々に野球の要素が取り入れられるようになります。
山田太郎のずんぐりむっくりした体型が、野球のキャッチャーとして適しているという設定が加わり、柔道部員でありながら野球部にも助っ人として参加する、という展開が増えていきました。
そして、読者の野球への関心の高まりと、水島氏自身の野球漫画への意欲から、物語は完全に野球漫画へとシフトしていきます。柔道の要素はほとんどなくなり、山田太郎は明訓高校野球部の不動のキャッチャーとして、甲子園を目指す物語へと大きく変貌を遂げました。
初期の柔道漫画としての「ドカベン」は、野球漫画としての国民的な人気を誇る「ドカベン」とは、全く異なる作品と言えるでしょう。
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