夏目漱石の小説「吾輩は猫である」はもともと、「猫伝」という題名で、それを「吾輩は猫である」という題名にしたのは高浜虚子。
夏目漱石の処女小説であり、彼の名を世に知らしめた傑作「吾輩は猫である」の誕生秘話には、意外な立役者が存在します。
漱石は当初、この作品を「猫伝」というシンプルな題名で構想していました。しかし、連載が決定した際、俳人で漱石の親友でもあった高浜虚子が、その題名を「吾輩は猫である」へと変更することを提案したのです。
この提案は、謙遜を装いつつも自己を誇示する猫のユニークな語り口をより際立たせる、見事なネーミングセンスの賜物と言えるでしょう。「吾輩」という尊大な一人称を用いることで、猫の視点から人間社会を風刺的に描くという作品の核心が、タイトルそのものに凝縮されたのです。
結果として、「吾輩は猫である」という題名は、作品のユーモラスで知的な雰囲気を完璧に表現し、読者の興味を強く惹きつけました。高浜虚子の慧眼によって、漱石の才能が開花し、日本文学史に残る名作が誕生したと言っても過言ではありません。
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