世界最長の小説はヘンリー・ダーガー『非現実の王国で』 約60年間かけて書かれた小説の長さは15145ページに及ぶが、内容はふたなり幼女の戦記
ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』は、文字通り「規格外」という言葉がふさわしい作品です。
彼は、病院の清掃員としてひっそりと生活する傍ら、誰にも知られることなくこの膨大な物語を書き続けました。
その執筆期間は約60年間にも及び、完成した原稿は15,145ページにも及ぶという、まさに驚異的なボリュームです。
物語の内容は、グレンニアという架空の惑星を舞台に、アビアンニア人に対するガランドリア人による虐殺を描いた戦記です。
主人公は、ヴィヴィアン・ガールズと呼ばれる、翼を持つ少女たち。彼女たちはしばしば残酷な目に遭い、その描写は物議を醸しました。
ダーガーは文章だけでなく、数百点に及ぶ水彩画やコラージュも制作し、物語の世界観を視覚的に表現しました。
これらの絵画は、アウトサイダー・アート(正規の美術教育を受けていない人々による芸術)の代表的な作品として評価されています。
彼の死後、屋根裏部屋から発見されたこの作品は、その異様さと圧倒的なスケールから、瞬く間に注目を集めました。
『非現実の王国で』は、今や文学、美術、心理学など、様々な分野の研究対象となっています。
一人の男が、人知れず築き上げた巨大な創造物。それは、私たちに人間の想像力の深さと、表現の可能性を改めて教えてくれるかのようです。
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