ガルシアマルケスの「族長の秋」という長編小説は一人称が“われわれ”
ガブリエル・ガルシア=マルケスの長編小説『族長の秋』(El otoño del patriarca) は、カリブ海の独裁者を主人公とした作品です。この小説の特筆すべき点は、一人称視点に「われわれ」が用いられていることです。
「われわれ」という語り手は、物語全体を通して、独裁者を見守る民衆の集合的な視点を提供します。これは、単一のキャラクターによる内面的な語りではなく、社会全体の声を通して、独裁者の孤独、権力への執着、そして崩壊を描き出すという、非常にユニークな手法です。
この手法は、読者にまるで当事者の一員であるかのような感覚を与え、独裁政治が社会全体に及ぼす影響をより深く理解させる効果があります。また、「われわれ」という視点は、民衆の曖昧な感情、すなわち、畏怖、服従、そして微かな反抗心を同時に表現するのに適しています。
『族長の秋』は、ガルシア=マルケスのマジックリアリズムの要素と、独裁政治に対する鋭い批判精神が融合した傑作として評価されています。「われわれ」という語り口は、その独創性を際立たせ、読者に強烈な印象を与える要因の一つとなっています。
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