谷崎潤一郎、吉井勇、泉鏡花と鳥鍋を囲んだとき、 無頓着な谷崎は「半煮えくらいがうまい」といって次々に鳥を引きあげてしまうので、 火の通った肉しかこわくて食えない鏡花は 「ここからは私の領分だから手を出すな」と鍋に線を引いたという。”
**詳細な説明:**
これは、文豪たちの食卓を垣間見るようなエピソードです。
舞台は、明治から昭和にかけて活躍した小説家、谷崎潤一郎、吉井勇、泉鏡花の3人が鳥鍋を囲んだ席。
谷崎潤一郎は、耽美主義的な作風で知られ、美食家としても有名でした。一方、泉鏡花は怪奇幻想的な作風で知られ、潔癖症だったと言われています。
このエピソードでは、谷崎が鍋奉行ぶりを発揮。まだ十分に火が通っていない鶏肉を「半煮えくらいがうまい」とばかりに次々と引き上げてしまいます。
潔癖症気味の泉鏡花は、生煮えの肉を食べることに抵抗があり、恐る恐る火の通った肉を食べていたのでしょう。
見かねた泉鏡花は、ついに「ここからは私の領分だから手を出すな」と鍋に線を引いて、谷崎の侵略から自分の取り分を守ろうとした、というユーモラスな状況です。
この話からは、それぞれの作家の個性や食に対する価値観が垣間見えます。
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