現在ではハンカチの形は正方形が普通だが、昔は丸いものや三角のものも同じ用に流通していた。
ハンカチーフ、それは鼻をかむため、あるいは汗を拭うために、はたまた涙をそっと拭うために、現代人にとって欠かせないエチケットアイテムの一つ。今では当たり前のように正方形をしていますが、歴史を紐解くと、意外な事実が浮かび上がってきます。
古代ローマ時代、ハンカチは「スダリウム」と呼ばれ、貴族階級の間で使用されていました。素材は主に亜麻で、その形は必ずしも正方形ではなく、様々な形が存在していたようです。汗を拭いたり、顔を覆ったりと、用途も現代とは少し異なっていました。
中世ヨーロッパに入ると、ハンカチは装飾品としての意味合いを強めます。素材は絹やレースが用いられ、刺繍や香りが施されることもありました。この頃も、形は正方形に限定されず、円形や三角形など、様々なバリエーションが見られました。特に円形のハンカチは、香水を含ませて持ち歩く「香袋」のような役割も担っていたようです。
ハンカチの形が正方形に落ち着いたのは、18世紀頃と言われています。フランス国王ルイ16世が「ハンカチは正方形であるべし」という勅令を出したことがきっかけという説が有力です。正方形の方がたたみやすく、ポケットにも収まりやすいという実用的な理由に加え、当時の貴族社会におけるファッションの流行も影響したと考えられます。
つまり、私たちが普段何気なく使っている正方形のハンカチは、長い歴史の中で様々な形を経て、最終的に実用性とファッション性のバランスが取れた形として定着した結果なのです。
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