2015年に世界遺産登録された佐賀県の三重津海軍所跡は地下に埋まった「見えない世界遺産」と言われている。
佐賀県の三重津海軍所跡は、2015年に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つとしてユネスコ世界遺産に登録されました。しかし、その最大の特徴は、遺跡のほとんどが地下に埋没しているという点です。
江戸時代末期から明治時代にかけて、佐賀藩は西洋の技術を積極的に導入し、この地に日本初の蒸気船製造を目指した海軍所を建設しました。オランダから技術者を招聘し、造船ドックや工場、関連施設を整備しましたが、その後の財政難や政治情勢の変化により、短期間で閉鎖されました。
海軍所は役割を終えた後、次第に忘れ去られ、長い年月を経て田畑や住宅地へと姿を変えました。そのため、地上には目立った遺構が残っておらず、「見えない世界遺産」と呼ばれるようになりました。
しかし、地下には当時のドックや建物の基礎、石垣などが良好な状態で保存されていることが、発掘調査によって明らかになっています。これらの遺構は、日本の近代化を支えた技術革新の歴史を今に伝える貴重な証拠であり、埋め戻された状態で保護されています。
現在、跡地にはガイダンス施設「三重津海軍所跡ビジターセンター」が設置され、発掘調査の成果や海軍所の歴史を紹介しています。また、AR(拡張現実)技術を活用し、かつての海軍所の様子を再現するなど、来訪者が遺跡のイメージを掴みやすいように工夫されています。
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