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文学 No.38|SF作家 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは、長年覆面作家であり男性だと思われていたが、ファンにより身元を特定される

SF作家 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは、長年覆面作家であり男性だと思われていたが、ファンにより身元を特定される

このトリビアについての解説

SF作家ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは、SF界にミステリーの霧を巻き散らした人物です。

1960年代末から70年代にかけて、その才能あふれる作品を発表し、たちまち人気作家の仲間入りを果たしました。

ティプトリーの作品は、繊細な心理描写と、性差や人間性の深淵を覗き込むようなテーマが特徴で、多くの読者を魅了しました。

しかし、その正体は長らく謎に包まれていました。

写真も公開されず、インタビューもほとんど行われなかったため、「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは男性である」という憶測がSFファンの間で広まりました。

この憶測を加速させたのは、ティプトリー自身が手紙の中で、男性的な口調や趣味について語っていたことです。

例えば、「元軍人である」「妻がいる」といった情報が、疑いなく「ティプトリーは男性」というイメージを強化していきました。

しかし、1976年、ついにティプトリーの正体が明らかになります。

実は、ティプトリーはアリス・ブラッドリー・シェルドンという女性だったのです。

彼女の母親の死亡記事が公開され、それがティプトリー宛ての手紙の差出人と一致したことで、ファンの手によって「覆面作家」のベールが剥がされました。

この事実はSF界に衝撃を与え、大きな議論を呼びました。

「ティプトリーはなぜ男性を装ったのか?」「女性作家だと知っていたら、作品の評価は変わったのか?」など、さまざまな意見が飛び交いました。

アリス・シェルドンは、その後もジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとして執筆活動を続け、1987年に自らの命を絶ちました。

彼女の遺した作品は、今もなおSF界における重要な遺産として読み継がれています。

そして、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアという名前は、性別の境界を超えた才能と、覆面作家というミステリアスな存在の象徴として、SF史に深く刻まれています。

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