OK Goが2025年4月11日に公開した「Love」のミュージックビデオは、ただの映像作品ではない。それは、愛という普遍的なテーマを、29台のロボットアームと60枚以上のミラーが織りなすカレイドスコープのような視覚体験で表現した、技術と芸術の奇跡だ。10年ぶりのアルバム『And the Adjacent Possible』に収録されたこのシングルは、バンドのクリエイティブな挑戦の集大成とも言える作品で、観る者の心を掴んで離さない。
ハンガリー・ブダペストのケレンフェルド駅。かつての栄華を物語る廃墟の駅構内で、OK Goは一つのカメラで撮影されたワンカット映像を創り上げた。そこでは、ユニバーサル・ロボットの協働ロボットアームが、音楽の鼓動に合わせてミラーをミリ単位の精度で動かし、無数の反射を生み出す。まるで万華鏡を覗くように、映像はバンドの姿を無限に増幅し、愛の深遠さを視覚化する。ダミアン・クラッシュ(Vo)は、子供時代に鏡の間で見た「無限の回廊」に着想を得たと語るが、この映像はまさにその記憶を現代の技術で再現したものだ。
撮影は過酷だった。氷点下の寒さの中、60人以上のスタッフが完璧なタイミングで動きを合わせ、39テイクを重ねた。ハトの糞や割れたミラーといった予期せぬトラブルを乗り越え、36テイク目でようやく完成。ワンカットの緊張感とアナタッチな質感が、CGでは決して得られない人間味と迫力を生んでいる。
楽曲「Love」は、クラッシュが父親として経験した愛の新たな次元を基に生まれた。歌詞は「虚無の舞踏室で温かな手を取る」と詩的に綴られ、個人的な感情が宇宙的なスケールで響き合う。ビデオでは、この情感をロボットが支える。ロボットアームは、0.01度の角度の違いで効果が変わるほどの精密さでミラーを操り、バンドの動きとシンクロ。人間と機械が共鳴するこの光景は、技術が感情を増幅する可能性を示している。クラッシュは言う。「ロボットは道具ではなく、感情を繋ぐパートナーなんだ」。
「Here It Goes Again」のトレッドミルダンスや「This Too Shall Pass」のルーブ・ゴールドバーグ・マシンで知られるOK Goは、常に視覚的な驚きで世界を魅了してきた。「Love」はその延長線上にあるが、単なるギミックを超え、技術を通じて人間の根源的なテーマに迫る点で一線を画す。ロボットとミラーの無機質な動きが、愛の温もりを際立たせるコントラストは、観る者に深い余韻を残す。
このミュージックビデオは、単に「すごい映像」を超えた体験だ。ワンカットの緊張感、廃墟の美しさ、無限の反射が描く愛の物語。そして、60人のスタッフとバンドの情熱が結実した裏話(YouTubeのメイキング映像でぜひ確認を!)。日本のファンもXで「映像が強烈すぎて曲が頭に入らない」と語るが、繰り返し観るうちに、優しいメロディと歌詞の深さが心に沁みるはずだ。
「Love」は、技術が人間の創造性をどこまで拡張できるかを示す一つの答えだ。YouTubeで今すぐチェックし、OK Goが切り開く「隣接する可能性」に飛び込んでみてほしい。愛とは何か、その無限の姿を、きっとあなたも感じるだろう。
OK Go – Love (Official Video) / OK Go
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