ウーパールーパー、正式名「メキシコサンショウウオ」は、その愛らしい外見とユニークな生態で知られる両生類です。「ウーパールーパーは、一生赤ちゃんのままで過ごす」というトリビアは、彼らの特徴的な「幼形成熟(ネオテニー)」という現象に基づいています。
幼形成熟とは、本来なら成長の過程で失われるはずの幼生の形質を、成熟した個体が保持する現象のこと。ウーパールーパーの場合、成体になっても幼生のような外鰓(えら)や背びれが残ります。これは、彼らが甲状腺ホルモンの分泌量が少ないため、変態が抑制されることが原因と考えられています。
水温が低く、ヨウ素が少ない環境では、甲状腺ホルモンの合成がさらに阻害されるため、幼形成熟はより顕著になります。逆に、環境によっては、外部から甲状腺ホルモンを投与することで、変態を促すことも可能です。しかし、変態したウーパールーパーは、必ずしも長生きできるとは限りません。
彼らの幼形成熟は、生存戦略の一環とも考えられています。メキシコシティ近郊の古代湖だった生息地、ソチミルコ湖は、高地にあるため水温が低く、ヨウ素も少ない環境でした。そこで、変態せずに水中で繁殖できる形質が有利に働き、幼形成熟が定着したと考えられます。
しかし、ソチミルコ湖は現在、環境汚染や外来種の影響により、ウーパールーパーの生息数が激減しています。彼らのユニークな生態を守るためには、生息地の保全が不可欠です。
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