毎年6月30日は、小惑星の衝突が地球に与える影響について考える「国際小惑星デー」です。そんな日に思いを馳せたいのが、遠い宇宙の話をぐっと身近に感じさせてくれる、地球上に実在する”衝突の痕跡”。その代表的な場所の一つが、西オーストラリア州の広大な砂漠地帯に静かに横たわるウルフクリーク・クレーターです。
これは、今から約12万年前に地球に衝突した巨大な隕石がつくりだした、巨大な円形の窪地です。その大きさは直径およそ880メートル、最も深い場所で60メートルにも及びます。衝突した隕石は直径15メートル、重さ1万4000トン以上と推定されており、その凄まじいエネルギーによって、平らだった大地に巨大なクレーターが形成されました。今でも現地では、衝突の際に蒸発し飛散した鉄の隕石の小さな破片が見つかることがあります。
ヨーロッパ人によってこの地形が発見されたのは1947年と、比較的最近のことでした。しかし、この土地の先住民であるジャル族の人々は、それよりはるか昔からこの場所を「カンダリマル」と呼び、神聖な場所としてその物語を語り
継いできました。彼らの言い伝えには、創造神話に登場する巨大な虹色の蛇が地中から姿を現した場所がこのクレーターだ、というものがあります。また、「空から星が落ちてきてできた」という、科学的な見解とも重なる非常に興味深い話も伝えられています。
この荒涼としてどこか現実離れした風景は、現代のカルチャーにも影響を与えました。2005年に公開されたオーストラリアの映画『ウルフクリーク/猟奇殺人谷』は、この地を舞台にしたことで世界的にその名が知られるきっかけとなりました。
国際小惑星デーに空を見上げる時、私たちの足元の地球にも、かつて宇宙から訪れた訪問者の記憶が確かに刻まれているという事実は、私たちと宇宙とのつながりを実感させてくれます。ウルフクリーク・クレーターは、その壮大な物語を静かに語り続ける、地球の貴重な記憶の一つなのです。
Wolfe Creek Crater, Western Australia, by drone / WombatusMaximus
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