スーパーの野菜売り場で、いつも目にするスナップエンドウ。鮮やかな緑とぷっくりしたさやは見慣れた存在なのに、つい素通りしてしまう。炒め物やおひたし、彩りの一品として、これまで何度も食卓に並べてきた。でも、ある日、ふとしたきっかけで、このありふれた食材がまるで初めて出会ったように新鮮に感じられた。
ある夜、いただき物のスナップエンドウを手に取った。量が多かったので、シンプルに楽しめる方法はないかと調べてみると、茹でてそのまま食べるのが手軽だと分かった。
塩を少し入れたお湯で、1分ほどさっと火を通す。ザルに上げて、試しにひと口。シャキッとした歯ごたえと、ほのかに広がる甘み。いつもと同じ味のはずなのに、なぜかその日は特別に思えた。普段なら気に留めず流してしまうところを、じっくり味わってみると、ありふれた食材がこんなにも新鮮に映ることにハッとした。
そういえば、このことでスナップエンドウとスナックエンドウが同じ品種だと知った。スナックエンドウは日本では「スナック菓子感覚でパクパク食べられる」ことをアピールした名前で、生で甘みが強いものを指すことが多いらしい。1983年に「スナップエンドウ」が正式名称になったそうだが、スーパーでは今も「スナックエンドウ」の表示を見かける。ずっと気になっていた違いが分かって、少しすっきりした。
茹でたスナップエンドウをそのままつまみながら、ふと思う。いつも見過ごしていたものが、ほんの少し視点を変えるだけでこんなに新鮮に感じられるなんて。日常の中で、ささやかな驚きはこんな風に生まれているのかもしれない。そんな気づきが、静かに心に残った。